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#140字小説 老人は薔薇園の世話をする。丁寧に丁寧に。薔薇がお好きなんですね。問われて首を横に振る。薔薇を育てて増やすのはトゲがあるから。ほらあの陰を見てごらん。子供が隠れんぼしている。トゲだらけの枝の中なら誰も苛めに来ないから。寂しいまま死んだ子供の霊を、薔薇が美しく包む。
※再掲です
#140字小説 「そんなに愛していたなら、なぜその人を仲間にしなかったんだ?」友である吸血鬼に訊くと、彼は答えた。「人と吸血鬼では寿命が違いすぎる」「それが理由?」「寿命が違うと生きる速度も感情の速度も違う。愛してると気づいたのは、その人が寿命を全うして百年ほどたった頃だったよ」
※再掲です
#140字小説 やめとけと何度も忠告したのに、友人が貯金をつぎ込んで探偵事務所を開設してしまった。「うまくいくわけないだろ」「そうでもないよ。この日を目指してずっと頑張ってきた」友人は得意気な顔で受付席に座る。「君と会った十歳のときから、君を名探偵にするのが僕の夢だったんだから」
※再掲です
#140字小説 元王妃は知らぬ罪で地下牢に落とされた。外は王の結婚式の最中。見張りが『うっかり』落としていった短剣はこれで自害せよということだろう。「お可哀想な王妃さま」誰かが呼ぶ。「血を一滴くださいませ」短剣で突いた指先を舐めさせてやると、鼠は敬礼して、笑った。「では始めましょう」
#140字小説 少年の花嫁は腰の曲がった老婆だった。失笑の中で行われた婚礼のあと二人きりになると、老婆は凛とまっすぐ立ち、剣を抜いて言った。「これでお前は私の夫として玉座を請求する権利を得た」老婆は古き王家の最後の一人だった。「坊や、どの首から欲しい? どれからでも獲ってやろう」
※再掲です
#140字小説 魔女は言いました。「12時の鐘が鳴ったら魔法は解けてしまう」「つまり」「その前に鐘を破壊せねばなりません」シンデレラは高くそびえる塔を見上げます。てっぺんにあるあの鐘を壊せるのは彼女だけ。「各階に敵が待っています」シンデレラは不敵な笑みを浮かべます。「行くわ」
※再掲です
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」「厨房の老メイド長です」「それは誰目線で?」「彼女の夫である庭師のジョン目線で」「いいわね」「ちなみに下町の飾り紐売りの娘も世界一美しいです」「誰目線で?」「彼女の一つ年下の幼馴染みの少年の目線で」「今日もいい話を聞かせて貰ったわ」
#140字小説
#twnovel
再掲です
図書館に行くと、背中にナイフを生やしたあからさまな他殺死体が床に転がっていて、うわどうしようと慌てていたら、「あら」と眼鏡の司書さんが冷静に死体を観察し「これはクリスティね」と棚から本を一冊出して開いた。死体は本に吸い込まれて消えた。「ときどき落っこちてきちゃうのよ」
#140字小説
再掲です
#140字小説 私の生まれ育った村の外れには魔女が住んでいた。絶対に近寄っちゃいけないと言われていた。父にぶたれた夜、魔女の畑に飛び込んだ。そこには毒草なんてなかった。「まあまあ」魔女は都会から移住してきたただの老婦人で、私の知りたいことを何でも教えてくれた。奨学金の存在とか。
※再掲です
#140字小説 「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」「厨房の老メイド長です」「それは誰目線で?」「彼女の夫である庭師のジョン目線で」「いいわね」「ちなみに下町の飾り紐売りの娘も世界一美しいです」「誰目線で?」「彼女の一つ年下の幼馴染みの少年の目線で」「今日もいい話を聞かせて貰ったわ」
※再掲です
魔法のランプを手に入れた。魔神に「あと5kg痩せたい」と言ったら毎日のランニングに伴走してくれたし、「人気店のスイーツ食べたい」と言ったら行列に並ぶのに2時間付き合ってくれた。今日は「好きな人と映画行きたい」と言って魔神の手を引っ張って一緒に映画を観に行った。
#140字小説 #140字小説 「今夜は皆で焼肉に行くぞ」なんて珍しいことを父が言うから、僕は怖くなって身を隠した。僕か、兄か姉か誰かが、元の家やシセツに戻されるのかもと思って。すぐ見つかって焼肉屋に連れて行かれた。そこに僕より幼い痩せた女の子がいた。「お祝いだ」と父が言った。新しい家族だぞ。
※再掲です
#140字小説
そろそろ模様替えの時期だ。くっきりした青に、水をたっぷりふくませたハケを、上から下へすーいすい。雲を巻き込んでいくと、みるみるうちに青が薄くなる。ついでにもっと下の方、山の稜線、水平線まで。すべての線が薄くなって、じわじわぼやける。くしゅん。小さな音がよく聞こえた。
#140字小説
古い曲を流しながらうとうとする。ぽやぽやと夢のはじまり、浮かんでは消える昔の思い出。ああ、あのときこうしていれば。ああ、このときこうしていれば。後悔だったのだろうけれど、夢の中ではそれと認識できず、ただ少し、悲しい気持ちになる。そこから続いた私の今。かくんと体が揺れ、目が覚めた。
「あの人、何祈ってるの?」
少年が祈る男を指す。
「ポストお清めだよ。炎上や変なのに絡まれないように」
優しく父が答える。
翌日。
「あれ? また祈ってる」
少年が昨日の男を指さす。
父は言った。
「神をバカにしてるって炎上したらしい。いまは炎上鎮火の祈りだね」
#140字小説
↑僕の中の最高傑作
#140字小説 老人は薔薇園の世話をする。丁寧に丁寧に。薔薇がお好きなんですね。問われて首を横に振る。薔薇を育てて増やすのはトゲがあるから。ほらあの陰を見てごらん。子供が隠れんぼしている。トゲだらけの枝の中なら誰も苛めに来ないから。寂しいまま死んだ子供の霊を、薔薇が美しく包む。
※再掲です
#140字小説
喉が、乾いた。歩き続けてここまで来た。いまさら戻れないし目的地はまだ遠い。水が尽きてしまったのだ。ふらふらしながら砂漠を行く。どこかで水を汲めるといいのだけれど、当然オアシスなんてそんな簡単には現れない。喉が渇いた。目が霞む。けれど行くしかないのだ。日陰もなく、でも行くしかない。
#140字小説 やめとけと何度も忠告したのに、友人が貯金をつぎ込んで探偵事務所を開設してしまった。「うまくいくわけないだろ」「そうでもないよ。この日を目指してずっと頑張ってきた」友人は得意気な顔で受付席に座る。「君と会った十歳のときから、君を名探偵にするのが僕の夢だったんだから」
※再掲です
ふぺふぺ@8/30:秩父A10a「実在証明委員会」
@hupelyotfront.bsky.social
2 days ago 「親愛なる君へ。
私は人類が数百年かけても果たせなかったことを成し遂げた。今や人間は妖怪の顔色を窺わず、自らの意志で生きられる。
それでも私は幸せではない。だから君の世界の稗田阿求だけは、どうか幸せにしてほしい。小説で、動画で、同人誌で」
#140字小説 #140字小説
画用紙にペンを滑らせる。線は輪郭となり、そこに犬が生まれた。犬は画用紙の上を駆け、こちらを見つめる。よし、取り出してやろう。ハサミを入れる。輪郭に添って。生まれた紙の犬は吠えようとする。それはいけない。私はひっそりと生きているのだ。犬をなだめ、おやつをあげる。犬はしっぽを振った。
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